普段の日常生活を生きているのに疲れた
他人と接するのが苦痛に感じる
そんなときは、
「人ではなく物に意識を向ける」
そうやって考えようとしていた
この世界で人間はオマケみたいなもの
物こそが人間よりも尊い存在
そんなふうに考えるようにしていた
発表会のときの「観客をカボチャだと思え」に似ている
そうやって意識的に他人と距離を置こうと努めていました
そんなあるとき江國香織さんの小説
「抱擁、あるいはライスのは塩を」を読んでいたときのこと
「人ではなく物に意識を集中しようとした」という表現が出てきた
しかも序盤も序盤に
とても驚きました
自分の中ではその表現は「伝家の宝刀」的なものだった
いざとなったら使うときの「奥の手」「必殺技」みたいな位置づけだった
ただ、そんな秘奥義を小説の序盤でサラッと表現されている
「驚いた」
その次に感じたのは「この考え方は正解だったんだ」ということでした
まあ、これが本当に正解の考え方かどうかは分かりません
「観客をカボチャだと思え」というアドバイスをすることが、教育上良いことなのかは分からない
ただ、自分と同じようなことを思っている人がいるんだなあ、と思える
安っぽい言葉で言うと、共感できる
そうやって自分がなんとなく思っていたことが小説に出てくると、とても嬉しい気持ちになりますね
いきなり自分の発明だと思ったことが小説の冒頭に出てきた
まだまだ先は長くどんな展開が待っているのか未知数
ただ、この小説を好きになることはこのときにすでに決められていたことでした
かわいそうなアレクセイエフ